【20250626】博士課程学生支援制度の国籍差別的見直しに断固反対します

博士課程学生支援制度の国籍差別的見直しに断固反対します

新潟大学職員組合中央執行委員会 声明

2025年6月26日

本日の読売新聞の報道によると、文部科学省は博士課程学生に年間最大290万円を支給する「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」について、生活費支援を日本人学生に限定する方向で見直す方針を固めました¹。昨年度の受給者10,564人のうち留学生が4,125人で、国籍別では中国が最多の2,904人(受給者全体の約3割)を占めていることを国会で疑問視されたことを受けたものです。見直し案は本日の有識者会議で示され、生活費支援(最大240万円)を留学生から外し、研究費支給は継続するとともに社会人学生を新たに支援対象に加える内容で、2026年度以降の適用が予定されています。

新潟大学職員組合は、この見直し方針について、証拠に基づかない差別的政策として、強く抗議し、断固反対の意思を表明いたします。

見直し方針の問題点

  1. 明白な国籍差別

文科省が示した「生活費支援を日本人に限定する」という方針は、国籍を理由とした明白な差別です。学問の世界において、研究の質や将来性は国籍によって左右されるものではありません。優秀な研究者を国籍で区別することは、憲法の平等原則に反し、国際人権規約にも抵触する恐れがあります。

  1. 地方大学の存続に関わる深刻な影響

18歳人口の減少により既に定員充足に苦しむ地方国立大学にとって、優秀な留学生は教育研究活動を維持するための生命線となっています。魅力的な支援策が失われれば、博士課程の定員充足がさらに困難になり、研究科の縮小や閉鎖につながる危険性があります。これは地域の知的拠点としての大学の役割を根本から脅かすものです。

  1. 問題の本質から目をそらす対症療法

真の問題は留学生の多さではなく、経済的・キャリア的不安から日本人学生が博士課程への進学を断念せざるを得ない国内の構造的危機にあります。博士号取得後の不安定な雇用状況と限られたキャリアパスこそが根本原因であり、留学生支援を制限することは問題の解決にはなりません。

  1. 証拠に基づかない政策決定の危険性

今回の見直しは、SPRINGプログラムが留学生獲得に与える影響について何ら客観的調査を行うことなく進められています。これは証拠に基づく政策立案(EBPM)の原則から完全に逸脱した、政治的圧力に屈した安易な方針転換であり、政策決定機関としての信頼性を著しく損なうものです。

  1. 在日外国人学生への不当な排除

今回の見直しでは、日本で生まれ育ち、日本社会で教育を受けてきた在日外国人学生も支援対象から排除されます。彼らは日本語を母語とし、日本の文化や社会に深く根ざして生活しているにもかかわらず、国籍のみを理由として差別的扱いを受けることになります。これは明らかに不当な措置です。

  1. 研究環境の多様性喪失

世界の主要な研究大学が、国籍を問わず優秀な人材を集め、多様な知が交錯する環境こそが新たな発見とイノベーションの源泉であると認識しているのは、もはや常識です。欧米の主要な研究型大学でも、優秀な博士課程学生が経済的負担なく研究に専念できるよう、国籍を問わず支援するのが一般的です。今回の見直しによる留学生の実質的排除は、日本の研究エコシステムから多様性を奪い、その活力を長期的に蝕むものです。それは国際共同研究の機会を減少させ、日本の学術界を世界から孤立させ、科学技術立国としての基盤を根底から破壊しかねません。

結び

学問に国境はありません。優秀な研究者を国籍で選別することは、日本の学術界の将来を自ら閉ざす愚策です。

地方国立大学である新潟大学は、地域の知的拠点として多様な人材が集う国際的な教育研究環境の維持に努めてきました。今回の政策転換は、そうした努力を水泡に帰す危険性があります。

新潟大学職員組合は、新潟大学職員、そして全国の大学関係者、研究者、市民の皆様と連帯し、この差別的政策の撤回を強く求めます。真の解決策は、博士課程の魅力向上と国籍を問わず学生が安心して研究に専念できる環境整備にあります。政府には、短期的な政治的配慮ではなく、日本の研究力向上という長期的視野に立った賢明な判断を求めます。

新潟大学職員組合中央執行委員会
2025年6月26日

参考

¹ 読売新聞「博士課程支援、生活費を日本人限定に…留学生の3割が中国出身で見直し」 2025年6月26日
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20250626-OYT1T50034/

以下のページより、学長宛署名を受けつけています。

博士課程学生支援制度の国籍差別的見直しに対する要望署名

新潟大学学長 牛木辰男殿

新潟大学長におかれましては、国立大学協会等を通じて政府に対し、博士課程学生支援制度における国籍による差別的取扱いの撤回と、国籍を問わない公正な支援制度の維持を強く働きかけていただくよう要望いたします。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScG4Ymf1oKFyjE-xGKkDx3R-eRKCGhdGuuOiUWhlbM31mmJCw/viewform?usp=header

 

組合HP(「博士課程学生支援制度の国籍差別的見直しに対する要望署名への呼びかけ」):https://niigata-u-union.sakura.ne.jp/union/?p=1903&preview=true

内閣委員会強行採決の懸念が強まっています

組合員各位

内閣委員会強行採決の懸念が強まっています。以下の文書を組合中央執行委員長名でFaxにて野党第一党・立憲民主党議員幹部に緊急送付しました。

【立憲民主党】
◆斎藤嘉隆 参議院国対委員長 FAX 03-6551-0707
◆石橋通宏 参議院議運筆頭理事 FAX 03-6551-0523
◆徳永えり 参議院政審会長 FAX 03-6551-0701
[執行部]
◆野田佳彦 代表 FAX 03-3508-3441
◆小川淳也 幹事長 FAX 03-3508-3251
◆重徳和彦 政調会長 FAX 03-3508-3285
◆笠浩史 国対委員長 FAX 03-3508-7120

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立憲民主党
○○○○ 先生
(並びに関係議員各位)

時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。国政の運営に日々ご尽力いただいておりますことに、深く敬意を表します。

本日、私たち新潟大学職員組合がこの要請文を提出いたしますのは、現在、内閣委員会で審議されている日本学術会議法改正案に対し、日々、教育と研究の現場に立つ者として、看過し得ない強い危機感を共有しているからに他なりません。

この法案は、政府が学術会議の人事に介入する道を大きく開くものであり、それは「学問の自由」と「科学の自律性」という、近代国家が築き上げてきた普遍的価値を根底から覆すものです。歴史は、知の発展が常に権力からの独立性を保つことによって成し遂げられてきたことを示しています。数多くの学者や知識人たちは、権威からの絶え間ない圧力と闘いながら、真理の光を社会に広め、近代民主主義の礎を築きました。権力から独立した知の共同体の重要性は、揺るぎない歴史的教訓です。

今回の法改正の動きは、この歴史的教訓に完全に逆行するものであり、日本の知的基盤を自ら脆弱にし、国際的な信頼を著しく損なうものです。私たち大学に身を置く者として、学問が時の権力の意向を忖度するような未来を断じて容認することはできません。それは真理の探究を歪め、長期的には国益を大きく損なう結果を招くことが明らかだからです。

つきましては、貴党に対し、以下の二点を強く要請いたします。

来る6月10日に想定される内閣委員会での法案採決に、断固として応じないでください。 短絡的な政治的判断が、我が国の学術と社会に回復不可能な傷を残すことのないよう、良識の砦としての役割を全力で果たしていただきたく存じます。

万が一、与党が数の力をもって採決を強行するような事態に至った場合、それは議会制民主主義の精神を踏みにじる暴挙です。その際には、断固たる姿勢で抵抗するため、和田正宗内閣委員長の解任決議案、および、学術への理解を欠く言動を繰り返す坂井学担当大臣の不信任決議案を提出し、あらゆる手段を尽くしてその非を明らかにしていただくことを強く求めます。

私たち大学職員も、そして多くの国民も、この重大な局面を座して見過ごすつもりはありません。国会前での「人間の鎖」をはじめとする市民の行動は、この問題に対する強い懸念の表れです。どうか、議会の内外で高まる理性の声に耳を傾け、歴史の審判に耐えうる、賢明かつ勇敢なご判断を心よりお願い申し上げます。

日本の民主主義と未来の知性を守るため、貴党の力強いリーダーシップが発揮されることを切に願っております。

敬具

新潟大学職員組合
執行委員長 逸見龍生

緊急声明 私たちは、日本の学術研究の根幹を揺るがす政府の学術会議法人化方針に反対します。

緊急声明 新潟大学職員組合中央執行委員会

1.学問の自由と研究独立性への根本的脅威

政府の学術会議法人化方針は、「独立性を徹底的に担保する」という名目で進められていますが、実際の制度設計は学問の自由に対する重大な挑戦にほかなりません。

外部委員が過半数を占める「運営助言委員会」の設置により、学術会議の自律的運営が著しく損なわれることになります。さらに、主務大臣任命の「日本学術会議評価委員会」設置は、政府による新たな統制機構となる危険性を孕んでいます。また、外部有識者による「選考助言委員会」が選考方針策定に意見することで、これまでの学者による純粋な互選制度が歪められてしまいます。

2.研究者共同体の解体と従属化の進行

法人化は、研究者の自律的共同体としての学術会議の本質を根本から変質させることになります。独立した研究機関から政府や経済界の意向を強く反映する組織へと変貌し、政策提言における独立性や政府に対する批判的機能が弱体化してしまいます。

特に深刻なのは、外部資金依存にり、基礎研究や真理探究よりも短期的成果や実用性が重視される傾向が強まることです。これは学術研究の本来の使命を根底から揺るがすものといえます。

3.国立大学法人化との連動した学術統制の拡大

学術会議法人化は、2023年12月に成立した国立大学法人法改正と軌を一にした学術研究機関全体への管理強化の一環として位置づけられます。外部委員による運営への介入、評価制度を通じた統制、財政的自立の要求による間接的コントロールという共通の統制メカニズムが、日本の学術界全体を覆い始めています。

4.教育機会の不平等と地域格差の深刻化

この流れは、国立大学の授業料値上げ問題とも密接に連動しており、高等教育における機会均等の理念を大きく損なっています。首都圏を中心とした授業料値上げにより地域間教育格差が拡大し、経済的理由による進学断念や中退者の増加が懸念されます。これは将来の研究人材の再生産にも深刻な悪影響を与えることになります。

5.民主的プロセスの欠如と強引な政策推進

法人化方針の策定過程は、十分な合意形成を欠いた極めて非民主的なものでした。2020年の会員任命拒否問題を契機として論点をすり替える形で議論が提起され、学術会議と社会からの強い反発を無視して強行されました。有識者懇談会での議論においても、学術会議の意見との隔たりが埋まらないまま方針決定に至っています。

6.国際的信頼の失墜と学術交流への深刻な支障

このような状況が続けば、日本の学術界の独立性に対する国際的な信頼が失墜し、国際的な学術協力や研究交流に深刻な支障をきたすことが予想されます。これは日本の学術研究の孤立化を招き、長期的な競争力低下につながる恐れがあります。

7.アカデミーの存立基盤そのものへの脅威

学術会議法人化方針は、単なる組織改革にとどまらず、日本のアカデミー全体の存立基盤を脅かす重大な問題となっています。真理の探究、学問の自由、研究の独立性という学術活動の根幹が、政治的・経済的利害に従属させられる危険性が極めて高くなっています。

このような状況では、研究者の自由な発想に基づく創造的研究が阻害され、長期的には日本の学術研究水準の低下と国際競争力の喪失を招くことが強く懸念されます。

学術界全体がこの問題を深刻に受け止めており、民主的な議論と透明なプロセスによる解決を強く求めています。2025年6月6日現在、全国で多方面にわたる抵抗活動が展開されていることからも、この問題の深刻さと緊急性が窺えます。

私たちは、全国の抵抗活動に連帯し、日本の学術研究の根幹を揺るがす政府の学術会議法人化方針に反対します。

新潟大学職員組合中央執行委員会

五十嵐寮におけるエアコン未設置問題に関する状況説明

組合員の皆様、日頃より組合活動にご理解ご協力いただき、誠にありがとうございます。

この度、老朽化した五十嵐寮におけるエアコン未設置問題について、組合員の学生・院生より詳細な資料が提出されました。この問題は、寮生の生活環境に重大な影響を及ぼすため、組合として看過できない状況です

提出された資料に基づき、経緯を時系列順に整理し、現在の状況と問題点を明確にいたします。こちらよりPDFファイルをご覧ください

資料提供者のTさんは、寮費を低く抑えつつも最低限の生活水準を確保し、学生が安心して学業に集中できる環境を整えることを訴えています。また、大学側が寮の予算不足を理由に十分な対策を講じない一方で、正門近くにソーラーパネルを設置する予算があることについて疑問を呈しています。さらに、熱中症による救急搬送事例からも、学生の生命に関わる問題であることが明らかになりました。

この問題に対し、組合として、以下の対応を進めてまいります。

  1. 大学側への要請:
    *五十嵐寮のエアコン設置に関する予算確保。
    *早急な電源容量問題の解決。
    *A棟へのカードキー設置を含む、防犯対策の強化。
    *熱中症対策の徹底と、緊急時の対応マニュアルの作成。
    *寮の建て替え計画に関する情報公開と、寮生への丁寧な説明。
  2. 組合員の意見集約:
    *この問題に関する組合員の意見を収集し、大学側との交渉に反映させる。
  3. 継続的な状況把握:
    *問題解決に向けて、継続的に状況を把握し、必要に応じて適切な措置を講じる。

組合員各位におかれましては、この問題について、ご意見やご要望がありましたら、遠慮なく組合までお寄せください。

今後とも、組合活動へのご理解とご協力をお願い申し上げます。

【2024/11/22】緊急声明を決議しました。

2024年11月22日(金)、第92回定期大会において次の緊急声明を決議しました。

PDF版はこちらよりpdf版緊急声明

「令和7年度以降の教員人事ポイント制の暫定措置(案)」に関する緊急声明

 このたび提案されている「令和7年度以降の教員人事ポイント制の暫定措置(案)」教育研究体制の改革案について、当組合は以下の通り決議いたします。
 本改革案は本学の教育研究体制の根幹に関わる極めて重要な案件であるにもかかわらず、その内容と影響について十分な説明がなされていない現状に、当組合として深刻な危惧を表明いたします。
 本組合は、現時点での改革案に対して重大な懸念を抱いており、教職員の教育研究環境に与える影響の大きさに鑑み、現行の提案内容のままでの制度変更には断固として反対の意を表明せざるを得ません。
 ついては、以下の事項を強く要求いたします。第一に、制度変更の具体的内容、その必要性、期待される効果、想定される移行プロセス、並びに教育研究活動への影響について、改革案の詳細な説明を求めます。第二に、本組合および学内の教職員各位との十分な意見交換の機会を設けることを要請いたします。
 本組合は、これらの要求事項について誠実な対応を求めるとともに、本組合の意見を十分に考慮した改革案の抜本的な再検討を強く要請いたします。
 本決議に基づき、大学当局との建設的かつ誠実な協議の即時開始を求めるものです。

令和 6 年 11 月 22 日
新潟大学教職員組合第92回定期大会 代議員一同

【20240606】緊急転載・「東京大学東京大学教養学部学生自治会・授業料値上げに関する全学一斉アンケート 分析レポート」

現在、東京大学で多くの学生・教職員の懸念の中、学費値上げの計画が執行部主導により進められています。

新潟大学職員組合は、今回の同大学の授業料値上げが学生・教職員の反対を押し切る形で実施されれば、同様の事態が、学生・教職員の意思を無視して全国の国立大学法人に拡大するのではないかと強く危惧します。

東京大学教養学部自治会が、このたび2000人の学生に行ったアンケート結果を公開し、それを学外公開用に編集ました(*)。ここにそれを転載し広く学生たちの不安の声を共有するとともに、国公立大学の教育の根幹をあらためて学生・教職員・市民の皆さんと共に、振り返りたいと思います。

新潟大学職員組合は、学費値上げに反対し声を挙げる東京大学学生・教職員に連帯します。

冊子『学費問題を考える』(学外公開用)

(*)2024/06/07 ファイルを学外公開用PDFに差替え

【20240509】団体交渉記録作成に対する学長の作成拒否回答について抗議します

国立大学法人新潟大学 牛木辰男学長

新潟大学職員組合は、団体交渉後、交渉内容をそのつど正確に記録し、大学法人学長及び新潟大学職員組合中央執行委員長の両者により確認することを提案し、毎回申し入れてきました。

これは、新潟大学で働く人々の権利と環境の改善を求めてなされる組合の要求事項と、それに対する大学側の回答を、組合員を始めとする本学教職員・院生・学生その他のすべてのステークホルダーに対して、公式に共有できる仕組みを整えるためです。

しかし、大学側により、この申し入れに対し、文書による拒否の回答をしてきました。このことに対し、新潟大学職員組合は強く抗議いたします。

団体交渉は、労働組合と使用者側が対等な立場で労働条件等について交渉を行う極めて重要な場であり、その交渉内容を正確に記録し、双方が確認することは、交渉の透明性と公正性を担保するために不可欠な手続きです。これは、労使関係の健全な発展と信頼関係の構築に資するものであり、労働組合法第6条及び第7条の趣旨からも当然に求められるところです。

ところが、大学側は「団体交渉の状況は双方が録音しており」「音声データが双方に存在し」、「貴組合においても反訳を作成していることと推測」できるがゆえに、「それらの他に、取り纏め・要約してえた文章の内容を確認し、押印して取り交わす必要はない」と回答しました。

この回答では、音声データと反訳の存在をもって公印押印の必要はないとされていますが、それらは正式な記録としての効力を有するものではありません。団体交渉の内容を労使双方が文書で確認し、公印を押印することによってこそ、初めて公式な記録としての位置づけが与えられるのです。

団体交渉後の公印押印された交渉記録の作成は、組合の正当な要求であり、これを拒否する大学側の対応は不当であると言わざるを得ません。改めて団体交渉記録の作成に応じるよう求めます。

団体交渉の記録については、双方の公印を押印の上、2週間以内に取り交わしを行いたく存じます。本件が労使間の信頼関係にかかわる重要な問題であることをご理解いただき、大学側には重ねて速やかなご対応をお願い申し上げる次第です。

2024年5月9日(木)
新潟大学職員組合中央執行委員長 逸見龍生

学長交渉記録作成要求に関する学長拒否回答

私たちは国立大学法人法改正案に反対します【緊急声明・2023/11/16】

私たちは国立大学法人法改正案に反対します

国立大学法人法改正案が国会に提出されました。新潟大学職員組合は、この改正案が大学の自治と自律性を揺るがす重大な影響を及ぼし、大学の使命たる真理の追究と民主主義的社会の形成に大きな阻害をもたらすものと考え、深い憂慮と深刻な懸念を表明します。

改正案は大学の自治と自律性を損なうことが懸念されます。国立大学はこの20年、徐々に自律性を奪われ、政府や企業の影響を強く受けるようになってきました。改正案はこうした流れを加速し、大学運営を政府・企業の強い影響下に置こうとしていると考えられます。

大きく懸念すべきは、「運営方針会議」です。学長よりも上位におかれる同組織は、大学の自治に対して政府など外部の支配力を大きく高める可能性があります。この会議が大学の重要なガバナンス・意思決定を握る一方、文部科学大臣の承認が必要となることから、政府による実質的な統制はいっそう強まることが予想されます。これによって学内の民主的な合意形成は、著しく軽視される恐れがあります。

改正案が大学の商業主義化や軍事主義化の風潮をいっそう推し進めることも、危惧されます。自由で多様な社会のありかたを狭め、国家利益を第一とする傾向を拡げることも懸念されます。これによって研究・教育の質の低下や学問の自由の制約を招く可能性があります。さらにこの動きは大学だけでなく、地方自治体やその他の公共サービスにも波及する恐れがあることから、公共の利益より経済的利益・軍事的国家戦略が優先される社会への変質を招くことが懸念されます。

何よりも、大学は独立した研究と教育を通じ社会に貢献する存在であるべきですが、改正案はその本質をゆがめてしまうことが危惧されます。本改正法案は、大学における学問の自由や研究・教育の質を深刻に脅かすことになりかねません。

最後に、本改正案には、将来的に全国の国立大学や公立・私立大学にその影響が広がる可能性があります。いや、国立大学独法化の以後のこれまでの「国立大学改革」の帰趨を経験してきた私たちには、新潟大学とその教職員、学生、さらには市民に広くこの影響が及ぶことは必至ととらえざるをえません。この点を私たちは深く憂慮します。

以上の理由から、私たち新潟大学職員組合は、改正案に対して強く反対の声を挙げることを表明します。大学の自治と学術の自由を守るため、政府に対し大学政策の抜本的な見直しを強く求めます。大学の自律性は大学がその使命を果たす上で欠かせない要件なのです。

2023年11月16日

新潟大学職員組合

そごう・西武労働組合のストライキへの連帯表明

関係各位

報道によれば、そごう・西武百貨店親会社のセブン&アイ・ホールディングスは、企業再編後の同店従業員の雇用・その他労働条件を同労働組合と具体的に協議せぬまま、一方的に株式譲渡を決断したとのことです。丁寧で真摯な労使交渉を怠った同社の姿勢には、深く遺憾の念を覚えざるをえません。

新潟大学職員組合中央執行委員会は、この度のそごう・西武労働組合による、ストライキ権の遵法的な行使に対する敬意と、労働者としての連帯の意思を表明します。

2023年9月1日
新潟大学職員組合中央執行委員会