私たちは国立大学法人法改正案に反対します【緊急声明・2023/11/16】

私たちは国立大学法人法改正案に反対します

国立大学法人法改正案が国会に提出されました。新潟大学職員組合は、この改正案が大学の自治と自律性を揺るがす重大な影響を及ぼし、大学の使命たる真理の追究と民主主義的社会の形成に大きな阻害をもたらすものと考え、深い憂慮と深刻な懸念を表明します。

改正案は大学の自治と自律性を損なうことが懸念されます。国立大学はこの20年、徐々に自律性を奪われ、政府や企業の影響を強く受けるようになってきました。改正案はこうした流れを加速し、大学運営を政府・企業の強い影響下に置こうとしていると考えられます。

大きく懸念すべきは、「運営方針会議」です。学長よりも上位におかれる同組織は、大学の自治に対して政府など外部の支配力を大きく高める可能性があります。この会議が大学の重要なガバナンス・意思決定を握る一方、文部科学大臣の承認が必要となることから、政府による実質的な統制はいっそう強まることが予想されます。これによって学内の民主的な合意形成は、著しく軽視される恐れがあります。

改正案が大学の商業主義化や軍事主義化の風潮をいっそう推し進めることも、危惧されます。自由で多様な社会のありかたを狭め、国家利益を第一とする傾向を拡げることも懸念されます。これによって研究・教育の質の低下や学問の自由の制約を招く可能性があります。さらにこの動きは大学だけでなく、地方自治体やその他の公共サービスにも波及する恐れがあることから、公共の利益より経済的利益・軍事的国家戦略が優先される社会への変質を招くことが懸念されます。

何よりも、大学は独立した研究と教育を通じ社会に貢献する存在であるべきですが、改正案はその本質をゆがめてしまうことが危惧されます。本改正法案は、大学における学問の自由や研究・教育の質を深刻に脅かすことになりかねません。

最後に、本改正案には、将来的に全国の国立大学や公立・私立大学にその影響が広がる可能性があります。いや、国立大学独法化の以後のこれまでの「国立大学改革」の帰趨を経験してきた私たちには、新潟大学とその教職員、学生、さらには市民に広くこの影響が及ぶことは必至ととらえざるをえません。この点を私たちは深く憂慮します。

以上の理由から、私たち新潟大学職員組合は、改正案に対して強く反対の声を挙げることを表明します。大学の自治と学術の自由を守るため、政府に対し大学政策の抜本的な見直しを強く求めます。大学の自律性は大学がその使命を果たす上で欠かせない要件なのです。

2023年11月16日

新潟大学職員組合

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