【20240606】緊急転載・「東京大学東京大学教養学部学生自治会・授業料値上げに関する全学一斉アンケート 分析レポート」

現在、東京大学で多くの学生・教職員の懸念の中、学費値上げの計画が執行部主導により進められています。

新潟大学職員組合は、今回の同大学の授業料値上げが学生・教職員の反対を押し切る形で実施されれば、同様の事態が、学生・教職員の意思を無視して全国の国立大学法人に拡大するのではないかと強く危惧します。

東京大学教養学部自治会が、このたび2000人の学生に行ったアンケート結果を公開し、それを学外公開用に編集ました(*)。ここにそれを転載し広く学生たちの不安の声を共有するとともに、国公立大学の教育の根幹をあらためて学生・教職員・市民の皆さんと共に、振り返りたいと思います。

新潟大学職員組合は、学費値上げに反対し声を挙げる東京大学学生・教職員に連帯します。

冊子『学費問題を考える』(学外公開用)

(*)2024/06/07 ファイルを学外公開用PDFに差替え

東京大学学費値上げに反対する緊急フリーペーパー「学生の声を聴け!」

東京大学学費値上げに反対する緊急フリーペーパー「学生の声を聴け!」を転載します。

新潟大学職員組合(学生組合員もおります)もこの問題をひとごとと考えず、学費値上げに反対する東京大学教職員・学生・院生の声を支持します。


https://niigata-u-union.sakura.ne.jp/union/wp-content/uploads/2024/05/fa0f572a09a129e8be43e5b7a50b250c.pdf

【2024年5月9日】新潟大学職員組合作成・新潟大学団体交渉(2024年2月21日)記録

新潟大学職員組合・新潟大学団体交渉記録

新潟大学職員組合作成(2024年5月9日)

 

日時: 2024年2月21日(水)17:00-18:02

場所: 新潟大学事務局棟4階 第一会議室

 

新潟大学職員組合出席者:

新潟大学職員組合中央執行委員長 逸見龍生

新潟大学職員組合中央執行副委員長 伊藤亮司

新潟大学職員組合中央執行副委員長 下保敏和

新潟大学職員組合書記長 岩崎俊介

新潟大学職員組合書記次長 後藤真一

新潟大学職員組合書記次長 柳沢 敦

新潟大学職員組合中央執行委員 粟生田忠雄

新潟大学職員組合中央執行委員 平野幸彦

新潟大学職員組合人法経分会分会長 高橋康浩

新潟大学職員組合人法経分会書記長 藤堂史明

新潟大学職員組合工分会分会長 大泉 学

新潟大学職員組合工分会書記長 永田向太郎

新潟大学職員組合教育分会分会長 岡野 勉

新潟大学職員組合教育分会書記長 鈴木賢太

新潟大学職員組合組合員 小西博已

新潟大学職員組合書記 安達裕仁

 

新潟大学出席者:

新潟大学学長 牛木辰男

新潟大学理事 川端和重

新潟大学理事 坂本 信

新潟大学理事 澤村 明

新潟大学理事 末吉 邦

新潟大学理事 西田眞吾

 

新潟大学陪席者:

新潟大学総務部長 澁谷 仁

新潟大学総務部人事企画課長 伊藤正則

新潟大学総務部労務福利課長 伊藤廣和

および総務部職員

 

2024年2月21日の新潟大学職員組合・新潟大学団体交渉において、次のようなやり取りによる交渉がなされたことを記します。

1.団体交渉態度に関する申入書(下記、「別添」)を団体交渉冒頭に組合委員長より読み上げた。

2.組合要求事項1 非常勤職員(基幹業務補助)待遇改善

(1)「国立大学法人新潟大学非常勤職員就業規則」第6条第5項、ならびに「国立大学法人新潟大学非常勤職員に関する取扱要項」第5条2の1の定める契約期間の延長に関わる規則を改正し、現行の「雇用期間が5年を超えることにつき、真にやむを得ない事情があると認められ、かつ、雇用するための財源が確保されている場合」(要項第5条2の1)としている5年又は契約更新の限度とされる期間に達する者についての契約期間の延長要件を、基幹業務従事職員について見直すこと。

(2)(1)による再雇用、ならびにクーリング期間を経て再雇用された非常勤職員の労働条件については、本学において雇用されていた期間の経験・能力向上を評価し、直前の契約における労働条件と同一のものとすること。

(3)前項の再契約は原則として期間の定めのない契約(無期雇用契約)とすること。

■大学側回答 (以後、回答は主として西田眞吾総務担当理事)

○要求事項1の(1) について

現時点で見直す予定はない。 理由は以下の通り。

1)運営費交付金の予算が不透明であり、非常勤職員の人件費についても明確に計画できない。

2)中期計画・中期目標が5年毎にある。非常勤職員の雇用は、事業の変化にあわせて柔軟に変更できるほうがよい。

3)任期満了後にどうしてもまた本学で継続して働きたいという場合は、常勤職採用試験を設けているので受験してほしい。

組合の反論:
1) 要求の対象としている基幹業務補助とは、大学事務職における「事務・技術職等の定型的・補助的業務に従事する非常勤職員」を含む、大学の基幹業務に関わりその業務を支える人材を指します。これらの業務は今後増加することはあっても、減少することはないと予想されます。したがって、基幹業務補助に従事する職員の人件費は、運営費交付金の将来的な変動に関わらず確保すべきであると考えます。大学側の回答は、その意味で回答になりません。

2) 中期計画の実施期間中にも、毎年新規採用が行われているという実態がある以上、大学側の回答は不合理であると考えます。さらに、パートタイム・非正規職員を人事上の調整弁として捉える大学側の姿勢は、極めて遺憾です。

3) パートタイム職員を雇止めし、常勤職採用試験を経ねば継続して働けないとすることは、職員の雇用の安定性を損なう行為です。長年働いてきた職員が、つねに雇用を失うリスクにさらされることは、職員の生活や将来の計画に大きな影響を与えます。安定した雇用が保証されない環境では、職員は長期的な視点で業務に取り組むことが難しくなります。

○同1の(2) について

採用については、募集の際の公平を期し、過去の職務経験は一律考慮しないというのが本学の方針である。

組合の反論:長年働いてきたパートタイム職員に対して、新規採用者と同じ条件で採用試験を課すことは、公平性に欠けます。職員の経験と貢献度が考慮されるべきです。安定した雇用が保証されない環境では、職員は長期的な視点で業務に取り組むことが難しくなります。パートタイム職員が担当している業務は、大学の運営に欠かせない役割を果たしています。雇止めによって職員が入れ替わることは、業務の継続性を損ない、効率性を低下させる可能性があります。新しい職員の採用と教育にはコストと時間がかかり、大学の運営に支障をきたす恐れがあります

○同1の(3)について

無期契約への転換は本人の意志によるものであって、一律に大学で決められるものではない。 それゆえに現状を維持する。

組合の反論:大学側の回答は、無期転換制度の本質的な意義を見落としています。私たちが求めているのは、無期転換制度を原則として導入することであり、制度の適用を希望しない職員に強制することではありません。無期転換制度は、職員の雇用の安定性を確保するための重要な手段であり、大学側は制度の導入を真摯に検討すべきです。

3.要求事項 2.非常勤職員の期末手当・勤勉手当支給を求める。

地方自治法の改正により、非正規の地方公務員「会計年度任用職員」の処遇改善のため2024年から勤勉手当を含めたボーナスが支給されることとなっている。本学でも非常勤職員に対する期末手当・勤勉手当を支給することを求める。

■大学側回答

非常勤職員に対する勤勉手当支給は地方自治体の場合である。本学としては、国において義務化された場合に実施を検討する。

組合側質問:文科省の実態はどうなっているのか。
澁谷仁総務部長回答:文科省はフルタイム非常勤にボーナス、パートタイム職員にはないと思う。
組合:「と思う」では困る。しっかりと調査してほしい。

総務部長回答:調査して回答します。(2024年5月9日現在、未回答)

4.要求事項 3.非常勤職員の病気等特別休暇(無給)の有給化を求める。

国立大学法人新潟大学非常勤職員就業規則第50条1ー2の定める以下の4号に関わる非常勤職員の特別休暇(現行では無給)を速やかに改正し、これを有給化することを求める。

(1)非常勤職員が生理日における就業が著しく困難なため勤務しないことがやむを得ないと認められる場合は、必要と認められる期間

(2)非常勤職員が職務上の負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合は、必要と認められる期間

(3)非常勤職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合(前2号に掲げる場合を除く。)は、一の年度において10日の範囲内の期間

(4)非常勤職員が骨髄移植のための骨髄液の提供希望者としてその登録を実施する者に対して登録の申出を行い、又は骨髄移植のため配偶者、父母、子及び兄弟姉妹以外の者に骨髄液を提供する場合で、当該申出又は提供に伴い必要な検査、入院等のため勤務しないことがやむを得ないと認められるときは、必要と認められる期間

■大学側回答:人事院では特に規定のないところだが、本学では(1)と(4)については有給化することにした。2月の役員会議、3月の労使協議会で確定したい。 (同労使協議会にて確定)

(2)と(3)は労災保険、共済組合給付で賄えるであろうから、導入はしない。

組合側意見(交渉後):パートタイム職員を含む非常勤職員が、労働災害や私傷病により休業する場合、最初の三日間は無給となることは、大きな負担であり、常勤職員との間に不公平な待遇差を生じさせています。無給期間を回避する唯一の方法は有給休暇の取得ですが、これは本来の有給休暇の目的とは異なります。非常勤職員の休業に対する適切な保障制度の導入が必要です。

(労災・共済組合給付の概要は以下(丸山隆行・新潟大学総務部労務福利課長、4月17日付メール)

[…]なお、労災保険給付は、労働基準監督署長あてに請求し、労働基準監督署において必要な調査を行い、保険給付が受けられる制度です。共済組合の給付は、組合員が病気やけがのため休んだ日以後3日を経過した日から傷病手当金が支給される制度です。

また、双方[労災]とも給付は4日目からで、給付額について大まかに言うと、労災の場合は給付基礎日額の80%、私傷病の場合は標準報酬の日額の2/3です(労災の場合は、1~3日目は大学から平均賃金の60%の給付あり)。

私傷病の場合、1~3日目は、病気休暇の場合は無給ですが、年次有給休暇を取得することも可能です。(下線強調は組合)

5 申し入れ事項② :裁量労働制の適用条件と同意手続きの改善について

裁量労働制の適用には、助教は勤務時間の9割を研究に、講師、准教授、教授は勤務時間の5割以上を研究・教育に充てて確保できていることが条件となっています。

来年度に向けて導入された裁量労働制に関する説明及び同意手続きについて、現在の説明文では、同意しなかった場合の不利益ばかりが強調され、同意へと誘導するかのような印象を受けます。裁量労働制の趣旨や適用条件、同意の意義について、より公正かつ中立な説明文に改善していただくよう申し入れます。

■大学側回答:

改善に向けて検討することにしたい。

別添

新潟大学職員組合は、過去における団体交渉の申し入れに際して、交渉の前段階で要求事項に対する回答の概要や要旨を事前に提示することを繰り返し要請してまいりました。しかしながら、新潟大学法人はこれらの要請に対して応じることがありませんでした。さらに、団体交渉の当日でさえ、回答の要旨を書面で提出することも、回答の説明を補強するための資料を提示することもありませんでした。

 

要求項目への回答内容には、法令や大学内規定、要求事項に関連する大学の意思決定に至った会議の内容や開催日時など、詳細な情報が含まれることが一般的です。これらの情報が口頭でのみ提供される現状では、職員組合がその場で適切に反応し、反論することは極めて困難です。その結果、事実確認を行うために交渉時間が無駄に消費されるという問題が生じています。

 

新潟大学法人の理事は、「団体交渉の前日および当日まで協議を行っているため、事前の回答概要を提示することができない」との立場を取っています。しかしながら、この主張は、労働組合との誠実な交渉を促進する上で根本的な課題を見落としています。交渉過程での意見交換の効率性と有効性を高めるためには、予め交渉の基盤となる情報や立場についての共有が不可欠です。理事の言及するような協議の進行状況は、団体交渉の本質的な目的とは異なり、対話と理解の促進に向けた努力を示すものではありません。実際に、事前に提供される回答概要は、労働組合が準備を整え、より具体的かつ建設的な議論を行うための基盤を提供します。そのため、事前の情報共有の欠如は、誠実な交渉過程を妨げるものであり、双方にとっての利益を損なう行為です。

使用者は、労働組合からの団体交渉申し入れに応じる義務を有しており(労働組合法第7条2号)、団体交渉は単なる意見聴取の場ではなく、労働組合の要求に対する合意形成を目指す交渉の場であるべきです。ここに、使用者に求められる「誠実交渉義務」に関する重要な裁判例を示します。

 

カール・ツァアイス事件(東京地裁平成元年9月22日判決)において、使用者は「自己の主張を相手方が理解し、納得することを目指して、誠実に団体交渉にあたるべきであり、労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明すること、必要な資料を提示すること、そして、最終的に労働組合の要求に譲歩できない場合であっても、その理由を明確にして反論するなどの努力をする義務がある」とされました。

新潟大学職員組合は、既に新潟大学法人を相手に労働委員会への申立てを行っております。この事実にもかかわらず、新潟大学法人がこれまでの交渉態度を継続していることは、深く遺憾であり、批判に値します。労働委員会への申立ては、組合の要求に対する法人の応答が不十分であることを示す重要な手段であり、このような状況下で、法人側との対話の改善を求め続ける労働組合の意志を反映しています。

 

にもかかわらず、法人がこれまでの姿勢を変えずに交渉に臨んでいることは、法的なプロセスと誠実な交渉要求の明確な無視であり、労働組合との平等かつ対等な関係の構築への明確な阻害要因です。このような状況は、労働組合との間で真の合意形成を目指す意思が新潟大学法人に欠如していることを示唆しています。新潟大学職員組合は、法人の交渉態度の速やかな改善を強く求めるものです。

以上内容に相違ありません。

新潟大学職員組合中央執行委員長 逸見龍生

 

国立大学法人新潟大学学長 牛木辰男

【20240509】団体交渉記録作成に対する学長の作成拒否回答について抗議します

国立大学法人新潟大学 牛木辰男学長

新潟大学職員組合は、団体交渉後、交渉内容をそのつど正確に記録し、大学法人学長及び新潟大学職員組合中央執行委員長の両者により確認することを提案し、毎回申し入れてきました。

これは、新潟大学で働く人々の権利と環境の改善を求めてなされる組合の要求事項と、それに対する大学側の回答を、組合員を始めとする本学教職員・院生・学生その他のすべてのステークホルダーに対して、公式に共有できる仕組みを整えるためです。

しかし、大学側により、この申し入れに対し、文書による拒否の回答をしてきました。このことに対し、新潟大学職員組合は強く抗議いたします。

団体交渉は、労働組合と使用者側が対等な立場で労働条件等について交渉を行う極めて重要な場であり、その交渉内容を正確に記録し、双方が確認することは、交渉の透明性と公正性を担保するために不可欠な手続きです。これは、労使関係の健全な発展と信頼関係の構築に資するものであり、労働組合法第6条及び第7条の趣旨からも当然に求められるところです。

ところが、大学側は「団体交渉の状況は双方が録音しており」「音声データが双方に存在し」、「貴組合においても反訳を作成していることと推測」できるがゆえに、「それらの他に、取り纏め・要約してえた文章の内容を確認し、押印して取り交わす必要はない」と回答しました。

この回答では、音声データと反訳の存在をもって公印押印の必要はないとされていますが、それらは正式な記録としての効力を有するものではありません。団体交渉の内容を労使双方が文書で確認し、公印を押印することによってこそ、初めて公式な記録としての位置づけが与えられるのです。

団体交渉後の公印押印された交渉記録の作成は、組合の正当な要求であり、これを拒否する大学側の対応は不当であると言わざるを得ません。改めて団体交渉記録の作成に応じるよう求めます。

団体交渉の記録については、双方の公印を押印の上、2週間以内に取り交わしを行いたく存じます。本件が労使間の信頼関係にかかわる重要な問題であることをご理解いただき、大学側には重ねて速やかなご対応をお願い申し上げる次第です。

2024年5月9日(木)
新潟大学職員組合中央執行委員長 逸見龍生

学長交渉記録作成要求に関する学長拒否回答

大学フォーラム オンラインシンポジウムのご案内

以下のフォーラムがオンラインで開催されます。

 

大学フォーラム オンラインシンポジウム

「日本学術会議〔法人化〕論を考える」

日時:3月4日(月)19:30~

発言:小森田秋夫(大学フォーラム)/隠岐さや香(東京大学)/栗田禎子(千葉大学)/佐藤岩夫(東京大学)/千葉紀和(毎日新聞)/三成美保(追手門学院大学)

*参加希望の方は、下記の参加登録フォームにご記入ください。ZoomのURLが送付されます。

https://forms.office.com/r/D5siqdFMBZ

第1回学長交渉のご案内

2023年度第1回学長交渉が下記日程で行われます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大以後、感染予防を目的にオンライン会議方式(ZOOM)により実施しておりましたが、久方ぶりに対面方式にて開催いたします。みなさまお忙しい時期にて恐縮ですが、参加を要請致します。

Ⅰ.第1回学長交渉
日時  2024年2月21日(水)17時00分~18時30分
会場  未定(会場が確定次第別途お知らせします)

Ⅱ.事前打ち合わせ
日時  2月21日(水)16時00分~
場所  職員組合中執事務室

各分会への参加要請に関わらず参加希望者は全員21日(水)16時00分に組合事務室へ集合してください。

私たちは国立大学法人法改正案に反対します【緊急声明・2023/11/16】

私たちは国立大学法人法改正案に反対します

国立大学法人法改正案が国会に提出されました。新潟大学職員組合は、この改正案が大学の自治と自律性を揺るがす重大な影響を及ぼし、大学の使命たる真理の追究と民主主義的社会の形成に大きな阻害をもたらすものと考え、深い憂慮と深刻な懸念を表明します。

改正案は大学の自治と自律性を損なうことが懸念されます。国立大学はこの20年、徐々に自律性を奪われ、政府や企業の影響を強く受けるようになってきました。改正案はこうした流れを加速し、大学運営を政府・企業の強い影響下に置こうとしていると考えられます。

大きく懸念すべきは、「運営方針会議」です。学長よりも上位におかれる同組織は、大学の自治に対して政府など外部の支配力を大きく高める可能性があります。この会議が大学の重要なガバナンス・意思決定を握る一方、文部科学大臣の承認が必要となることから、政府による実質的な統制はいっそう強まることが予想されます。これによって学内の民主的な合意形成は、著しく軽視される恐れがあります。

改正案が大学の商業主義化や軍事主義化の風潮をいっそう推し進めることも、危惧されます。自由で多様な社会のありかたを狭め、国家利益を第一とする傾向を拡げることも懸念されます。これによって研究・教育の質の低下や学問の自由の制約を招く可能性があります。さらにこの動きは大学だけでなく、地方自治体やその他の公共サービスにも波及する恐れがあることから、公共の利益より経済的利益・軍事的国家戦略が優先される社会への変質を招くことが懸念されます。

何よりも、大学は独立した研究と教育を通じ社会に貢献する存在であるべきですが、改正案はその本質をゆがめてしまうことが危惧されます。本改正法案は、大学における学問の自由や研究・教育の質を深刻に脅かすことになりかねません。

最後に、本改正案には、将来的に全国の国立大学や公立・私立大学にその影響が広がる可能性があります。いや、国立大学独法化の以後のこれまでの「国立大学改革」の帰趨を経験してきた私たちには、新潟大学とその教職員、学生、さらには市民に広くこの影響が及ぶことは必至ととらえざるをえません。この点を私たちは深く憂慮します。

以上の理由から、私たち新潟大学職員組合は、改正案に対して強く反対の声を挙げることを表明します。大学の自治と学術の自由を守るため、政府に対し大学政策の抜本的な見直しを強く求めます。大学の自律性は大学がその使命を果たす上で欠かせない要件なのです。

2023年11月16日

新潟大学職員組合