要求事項の詳細については、2023年4月21 日付で提出した「団体交渉要求書」をご参照下さい。
学長を始めとする役員会メンバー(病院長を除く)は全員出席していましたが、驚くべきことに、団体交渉の冒頭において、学長は総務部長・総務部労務福利課長・同人事企画課長を、交渉権を委任する出席者として紹介しました。これまでの団体交渉では、これら事務方の部課長は「陪席者」とされているのが慣行であったため、事前に組合側はこれに抗議し、撤回と従来通りの慣行に即して交渉が行われることを求めていたものです。労務福利課長が司会進行を担当し、部課長が適宜、補足的に説明に加わることまでは、組合側も事前に同意していましたが、労働組合との交渉の主体はあくまでも学長、理事らでなければなりません。
西田理事は前記の部課長が労働基準法における使用者に該当することを根拠に、団体交渉における使用者として認められる、との説明を行い、「労働基準法上の使用者の定義は労働組合法上の使用者とは異なるため、その説明は誤りである」という組合側の指摘を決して認めません。
学長は冒頭で出席者の紹介をしただけで、他の役員会メンバーである理事たちも、説明を部課長に丸投げで、組合側から理事を指名して発言を求めた時以外は発言しませんでした。まるで「予習課題をせずに授業に出席した学生」のようで、ひたすら無言のまま、団体交渉の時間が過ぎるのを待っているだけのようでした。
組合側は、「規則や運用実態に関する説明は部課長でもできるが、組合側は規則や運用実態を変えてほしいと言っている。規則や運用方法を変える判断をするのは役員会メンバーである」として、学長・理事の発言を促したのですが、「部課長が説明した通りだ」としか答えず、しばしば長時間の沈黙状態が見受けられました。
下記に示すように「非常勤職員の仕事は補助業務であり、誰でもできる」と西田理事は発言しましたが、【6月7日、お詫び:「誰でもできる」という発言はありませんでした。録画データを確認しないまま思い込みで書いてしまったことについて、西田理事を始めとする関係各位に深くお詫び申し上げます】それこそ部下に任せて無言で座っているだけならば「誰でもできる」仕事です。こうした大学側の態度は、労使間で誠実な交渉が行われることを希望している組合の信頼を毀損するものです。組合は強く抗議し、労働組合法に基づき「使用者」と「陪席者」を明確に分けていた従来の労使慣行を尊重するように求めます。
交渉内容について説明します。
1.新年俸制教員の評価について
1)3年に1回しか昇給しないシステムを是正すること。
2)新年俸制教員の評価区分をSS、S又はAに決定する際に、学系等毎に著しい評価格差が生じないよう、年俸制教員業績評価委員会は学術的多様性に配慮し、公正かつ公平な判断基準を設けること。
3)人数算出において小数点以下を切り捨てるのではなく、切り上げに変更すること。
組合側は、追加資料a) 〜f)を交渉前に提出することを要求し、交渉における明確な説明を求めていました。これに対して大学側から5月22日に資料の提出を受けましたが、新年俸制を含む教員の号給改定に必要な『b)人事院規則9-8 別表第七 昇格時号俸対応表に相当する表』の提出がありませんでした。
5月25日に改めて当該不足資料の提供を求めたところ、団体交渉当日5月29日の朝に同表の提出がありました。
当該資料が当初提出資料から漏れた理由を尋ねたところ、部課長は「昇格時号給対応表は新年俸制教員に関係がないと思っていた」、さらに「学内の資料ではない」と発言しました。これにより、当該資料は昇格に限らず、新年俸制を含む教員の号給改定の際に必須の表であることを部長・課長が知らないことが露呈してしまいました。さらに、このような重要な事実も知らないまま、労務・経営に責任を持つ者として団体交渉に当たっていることも笑止千万です。
「学内資料ではないのであれば、誰がいつ作った資料であるのか」という組合側からの質問に対して、総務部長は「国大協が作った資料であり、国大協から提供を受けているものである」と回答しました。「学長が別に定める」とあるものに国大協が提供した資料を使うことをいつ誰がどのような会議で定めたのか、質問しましたが、回答はありませんでした。次回の要求事項に加えます。
*なお、その後調べたところ、国大協の経営委員会の下にある人事労務小委員会が当該資料の作成・提供を行なっているようです。
要求1)〜3)について、澤村理事に発言を求めたところ、いずれも納得のいく根拠説明もなしに「当面変更するつもりはない」というゼロ回答でした。要求1)について「不利益ではないし、赴任の際に全員が納得して契約を結んでいる」と説明しました。これに対して、組合側は、令和元年(2019年)9月18日開催の第98回経営協議会議事概要を引いて、新年俸制について学外委員からの発言に「不利益」や「不利な制度変更」という文言があり、それに対して大学側は「号給の改定が3年分の業績評価により行われるため,毎年昇給が行われないということは不利益とも言える。当初は経過措置として,月給制が適用されたと仮定した場合の昇給分を措置することを含め,なんらかの方策が必要であるかを検討したい。」と回答していることを指摘しました。「大学は当時の見解を変えてしまったのか」、「この発言は誰がしたのか」との組合側からの質問に大学側は長時間の無言のまま答えませんでした。
*団交後に当該議事概要を確認したところ、現在の役員会メンバーの中では牛木学長と川端理事が共に当時の理事として出席していました。
2.非常勤職員の処遇改善について
(1)契約期間が5年又は契約更新の限度とされる期間に達する者に対し、ひき続き契約することができるようにすること。その場合の契約は無期契約とし、引き続き契約する場合の労働条件は、原則として直前の契約における労働条件と同一のものとすること。
(2)上記(1)に掲げる要求が満たされない場合には、少なくとも、本学において雇用された5年間の経験・能力向上を評価するため、再度雇用された非常勤職員の給与は直前の契約における労働条件と同一のものとすること。
上記についても、総務部長からの説明だけで済まそうとしたので、西田理事に発言を求めました。上述の通り「非常勤職員の業務は補助業務であり、誰でもできる仕事である」【6月7日、お詫び:「誰でもできる」という発言はありませんでした。録画データを確認しないまま思い込みで書いてしまったことについて、西田理事を始めとする関係各位に深くお詫び申し上げます】ので現在の規則を変更するつもりはないとのゼロ回答でした。これに対して組合側は、総務省から令和4年12月23日に出された「会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)」を示して、地方自治体における非常勤職員にあたる会計制度任用職員についても「空白期間の適正化」「適切な勤務時間の設定」「適切な給与決定」「再度の任用について」など、組合側からの今回の要求は国が求める「働き方改革」の方向性とも合致していることを説明しました。新潟大学において非常勤職員(主にパートタイム職員)の労働条件の改善を行わない場合、新潟大学で働くことを誰も選ばなくなり、人材確保に困る事態になるし、そもそも不安定な雇用制度を解消していこうとしている社会全体の動きに逆行することとなる、と警告しました。
組合側は要求実現に向けて継続審議を求め、必要な追加の要求事項を加えた要求書を提出することを宣言して交渉を終了しました。
以上(文責:中央執行委員長)