2025年学長選考候補者アンケート回答結果

2025年 新潟大学学長選考候補者
アンケート回答一覧

回答日: 2025年8月21日

小野寺 理 候補者
川端 和重 候補者
染矢 俊幸 候補者

Ⅰ. 二択式質問回答

1. 教育研究基盤の強化

質問小野寺理候補者川端和重候補者染矢俊幸候補者
問1 教員一人当たりの基盤的研究費について、最低保障額(例:年額30万円)を設定することは必要である必要である必要である
問2 教員の研究時間確保のため、会議・委員会等の管理業務を現状から削減すべき削減すべき削減すべき
問3 学術分野間の予算配分において、文理を問わず基礎研究への支援は強化すべき強化すべき強化すべき

2. 大学の自治と民主的運営

質問小野寺理候補者川端和重候補者染矢俊幸候補者
問4 教授会の議決や意見は、学部・研究科運営において最大限尊重する最大限尊重する最大限尊重する
問5 学長選考過程において、教職員による意向投票の結果は重要な判断材料とすべき学長選考監察会議が決めることです重要な判断材料とすべき

3. 人事・評価制度

質問小野寺理候補者川端和重候補者染矢俊幸候補者
問6 現行の教員ポイント制は見直しが必要現行制度を継続見直しが必要
問7 若手教員の無期雇用への転換機会は拡大すべき拡大すべき拡大すべき

4. 教育改革と学生支援

質問小野寺理候補者川端和重候補者染矢俊幸候補者
問8 クオーター制は教育効果と教員負担の観点から見直しが必要見直しが必要見直しが必要
問9 学生への経済的支援(授業料減免・奨学金等)は現状から拡充すべき拡充すべき拡充すべき
問10 授業料値上げについてはやむを得ない場合がある国が決めることです回避すべき

5. 附属病院と地域医療

質問小野寺理候補者川端和重候補者染矢俊幸候補者
問11 附属病院医師の診療負担は現状から軽減すべき軽減すべき軽減すべき
問12 地域医療への貢献と病院経営のバランスにおいて地域医療を優先すべき地域医療を優先すべき地域医療を優先すべき

6. 組織運営の透明性

質問小野寺理候補者川端和重候補者染矢俊幸候補者
問13 大学運営に関する情報公開請求には積極的に応じる法定範囲内で対応する積極的に応じる
問14 重要な意思決定に関する会議議事録は原則公開すべき必要で最小限の公開でよい原則公開すべき

Ⅱ. 記述式質問回答(全文)

問1. 現執行部の評価と今後の大学運営について
小野寺理候補者

現執行部のDX推進、J-PEAKS採択等の改革努力は高く評価します。一方で、研究力の相対的急落、運営費交付金削減による財政基盤の脆弱化、教職員の疲弊、大学院充足率低下、医歯学総合病院の疲弊という構造的課題も看過できません。

学長就任時は「地域課題の世界モデル化を通じた社会変革拠点大学」を目指し、「対話による共創」「人を最優先とする組織運営」「既存の強みを活かした戦略的発展」の三つの基本方針を掲げます。J-PEAKSについては構成員との対話を徹底し、将来像を共有しながら資源配分を透明化します。新潟大学基金の段階的拡充、病院の自律的経営基盤強化、人事制度の段階的再検討、DX推進を通じて、全教職員が誇りを持って働ける環境を築き、持続可能な発展を目指します。

川端和重候補者
私は、現執行部とともに、アカデミアの中の大学から社会の中の大学へ、また地域を牽引する総合大学から日本を牽引する研究大学へを目指して、大学改革を行ってきています。教員の方々のみならず職員の方々、すべての方々が培われてきた成果とご協力をもとに本学はJ-PEAKS事業を始め、内閣府事業等の多くの日本を代表する大学改革事業の採択を得ることができています。これらを本大学が飛躍するスタートアップの資金として、皆さんとともに本学を日本の知を牽引するリーダー大学にしたいと思います。この観点で、教育、研究、社会共創、大学経営を次の世代のために発展させてゆきましょう。具体的な内容は、所信書をご覧ください。またキーワードと新潟大学で検索していただくとさらに詳しい内容を見ることができます。
染矢俊幸候補者

現執行部は「第4期中期目標・中期計画」および「将来ビジョン2030」に基づき、教育研究・地域連携・国際化で成果を上げ、基盤強化に寄与しました。教育改革ではメジャー・マイナー制導入や大学院再編、研究力強化ではJ-PEAKS採択や共創IP、国際化ではグローバル推進機構設置などが挙げられます。これらの成果は継承し、さらに発展させます。

一方で、研究力の低下は大学の信頼と持続可能性に直結する大きな課題です。また、人事ポイントの凍結により現場の負担が増大し、公正性への疑念やコンプライアンス上の不安も拡大しました。

私は現場との対話を重視し、課題を丁寧に共有しながら、社会の変化に対応できる公平でわかりやすい人事制度への見直しを進めます。研究資源の戦略的配分と基盤整備を強化し、DX推進によって業務を効率化して教育研究に専念できる時間を確保します。教育研究と社会貢献を有機的に結びつけ、現場の努力が正当に評価される環境を整え、誇りと活力に満ちた大学へと発展させます。

問2. 学術の均等発展について
小野寺理候補者

人文・社会科学から自然科学、医学まで全学術分野の均等発展は、総合大学としての使命です。多様な学問分野の集結により「総合知」を創出し、社会変革をリードすることが本学の最大のポテンシャルです。

外部資金獲得が困難な基礎研究分野は、新潟県・市と「新潟創生行動計画2035(仮称)」を共同策定し、地域からの支援体制を確立します。人文・社会科学分野では、地域産業界とのオーダーメイド型共同教育講座や社会人再教育プログラムを拡充し、新たな収益モデルを構築します。AI時代に重要となる人文社会科学の知見を、ELSIセンターとの連携を通じて企業の技術ガバナンスに活用し、新たな産学連携モデルを創出します。学術分野の特性に応じた公平な評価基準を設定し、外部資金だけでなく地域貢献や教育への貢献も正当に評価することで、全分野の自立的・持続的発展を実現します。

川端和重候補者

国立大学の使命の一つとして、多様な学問の発展があり、予測不能な変化が起こる未来社会において、必要となる新しい科学技術・学術や医療等、さらにはそのような社会を担い活躍する人材の育成が可能となります。同時に直近の将来のためにやらねばならない学問や大学としての役割もあります。これらを両輪で進めることが使命と考えています。

このように学問の発展には、ステージや領域によって必要な時間、資金、関係する専門人材群が異なります。よって、すべての学術分野の発展を一大学で担担って、均等に発展させることは不可能です。日本全体で俯瞰して(必要に応じて世界を俯瞰して)、また協力し合って進めることが必須です。

 研究者や職員が必要な外部資金は、活動内容によって10万円かもしれませんし、10億円かもしれません。研究者は、プロフェッショナルです。すなわち、自らの研究や活動のために必要な資金を調達することも仕事の一部です。外部資金は多様です。あらゆる手を尽くしてやりたいことをやるのがプロだと思います。自ら目標を実現させるために汗を流す方々には、大学は支援を惜しみません。

染矢俊幸候補者

総合大学として均等な発展を実現するには、分野の特性を踏まえた戦略的かつ公平な支援が不可欠です。社会的意義は大きくても外部資金を得にくい分野についても、その固有の研究形態と価値を尊重し、学内の資源配分や制度設計に適切に反映します。こうした取組により、多様な学術分野が互いに補い合い、大学全体の厚みを形作ります。

基礎研究分野は成果が見えるまでに時間を要し、既存の外部資金制度では十分に支えきれない面があります。そのため大学基金や学内予算を組み合わせ、外部資金の有無に左右されにくい仕組みを整えます。資料購入や研究継続費、若手研究者の立ち上げ支援、共通機器の計画的整備など、現場の声を踏まえた支援を進めます。

人事では、学部からの提案を本部で全学的に調整し、分野横断的で偏りのない採用を進めます。さらに、若手・女性・外国人研究者にも活躍の場を広げ、多様性を尊重する大学づくりを進めます。研究基盤の整備にあたっても幅広い意見を聞きながら進め、基礎と応用が支え合う「知の循環」を育みます。

限られた資源の配分には課題が伴いますが、多様な声に耳を傾け、透明性を持って調整し、全体最適を図ります。「まず人」「全学で未来へ」の理念を大切に、信頼される大学を目指します。

問3. 教職員の多忙化解消について
小野寺理候補者

教職員の多忙化は喫緊の課題であり、まず基本的な職員確保が最優先です。R9年度まで職員の欠員補充が凍結され、中堅・若手層の離脱が懸念される現状は、構成員の健康と雇用の安定こそが優れた研究・教育の基盤という私の認識と矛盾します。

人事制度の段階的再検討を行い、退職教職員の補充を計画的に進め、人件費確保のための予算見直しやポイント制の柔軟な運用を検討します。医歯学総合病院については病院独自の裁量と人事制度の確立を支援し、医療職の慢性的な人手不足解消を図ります。

並行して会議・業務の見直しとDX化を推進し、既存職員の負担軽減と研究・教育への専念時間を確保します。事務・技術職員を大学戦略を共に推進する「パートナー」として位置付け、専門性が昇進・昇給に反映される人事評価制度を段階的に導入し、全構成員が能力を最大限発揮できる環境を整備します。

川端和重候補者
令和5年に内閣府PEAKS大学実証事業に申請して採択され、本件に関する検討を国内の大学で先駆けて行っています。大学の経営や運営をすべて教員に押し付けている状況を打破して、今一度、教員の方々が最も力を発揮する教育と研究の時間を取り戻していただくように、大学経営マネージメント業務を専門的な実務経験を持ったエキスパート人材(University Administrator職)を設置し、さらに連動して事務職の方々の高度化と経営のへ参画を行うことで抜本的に経営体制整備をおこなっています。同時に、業務の効率化(事務手続きの簡素化)やDX化、会議やWG設置等の見直しを具体的に可視化しながら行うこととしています。本学の事例内容は内閣府でも講演し、国立大学の経営マネージメントのモデルとして取り上げられ、国内の大学からも注目されています。今後は、さらに、独創時間獲得担当の副理事を設置して数年以内に具体的な効果が出るように推進します。皆さんのご理解とご協力をお願いします。
染矢俊幸候補者

教職員の多忙化は、新潟大学においても教育研究の質を損ない、心身の健康やワークライフバランスを脅かす重大な課題です。心身の健康に関する専門家として、この状況が教職員の精神的疲弊や離職リスクの高まりに直結しかねないことを強く憂慮しています。背景には、会議・委員会等の管理業務の増大、事務手続きの非効率性、人的資源不足などがあり、現場の負担感と疲弊感を高めています。

私はまず、業務全体を棚卸しし、必要性・効果・代替可能性を精査した上で、削減・簡素化を進めます。DX推進により、書類業務や情報共有、申請・承認プロセスを電子化・一元化し、事務作業時間を削減します。適正な人員配置を行い、事務職員の専門性を高めることで、教員の事務負担を軽減します。また、タスクシェアリングによる業務分担を進めます。さらに、業務改善の提案を受け止める常設窓口を設け、現場発の効率化を促進します。

こうした取り組みにより、教職員が安心して教育研究に専念でき、その成果を最大限に発揮できる環境を実現します。

問4. 学費負担と学生への経済的支援について
小野寺理候補者

「人を最優先とする組織運営」の理念に基づき、学生が経済的理由で学業を断念することがないよう、授業料値上げは可能な限り回避すべきと考えます。

運営費交付金の継続的削減など厳しい財政状況において、教育研究の質を維持するためやむを得ない場合も、まず新潟大学基金の拡充、県内企業・卒業生ネットワークとの連携、企業版ふるさと納税活用など、あらゆる財源確保策を尽くします。値上げ検討時は学生・保護者への十分な説明と教育の質向上を約束します。

経済的困難を抱える学生への支援は最優先で拡充します。授業料減免制度の維持・拡充に加え、地域独自の給付型奨学金制度創設を目指します。博士課程学生には「修士・博士一貫コース」導入による在学期間短縮で負担軽減し、産業界との連携による「博士人材キャリアパス保証制度」を確立します。

川端和重候補者

国立大学の授業料は、経費の積み上げで決まっているものではなく国策でこの金額になっています。ご存じのように、欧米などの有名大学の授業料は、1000万円/年にも及んでいる国もあれば、すべて国費でという国もあります。そのような中での日本の授業料です。よって、10%の値上げも含め授業料の変更は国策として行うべきです。

 経済的苦境の学生がいることは確かです。国等の多様な支援策もあります。これらを活用しないで、親の仕送りとバイト料でくらす学生も多く存在します。他方、高校を卒業して働いて自分の生活費や活動費、さらには家庭をもって子供を担っている若者もたくさんいます。彼ら彼女たちは所得税を納めています。私は大学生を彼ら彼女たちと同じ社会人の一員として年齢相応に扱うべきと考えています。どれくらいどのように経済的に苦境な学生が存在して大学として支援をしなければならないかを、「かわいそう」というような単純な同情ではなく、進めるのであれば具体的に今一度なぜ支援をするのかに立ち戻って考えるべきだと思っています。そのうえで、必要な財源を確保するためにあらゆる手を尽くして動きたいと思ます。

染矢俊幸候補者

授業料値上げは、学生の学びの機会を経済的理由で制限し、多様な人材育成を阻害するおそれがあるため、可能な限り回避すべきと考えます。大学の財政基盤強化は授業料収入に依存せず、外部資金の獲得、大学基金の活用、産学官連携や国際助成の拡大など、多様な財源確保によって実現します。

経済的困難を抱える学生への支援として、授業料減免や返済不要の奨学金枠を拡充します。また、家計急変時の緊急支援制度を機動的に運用します。

さらに、キャンパス内アルバイトやリサーチアシスタント制度を整備し、学びに直結する形で収入を得られる機会を提供します。生活支援やメンタルケアを含む包括的な学生支援体制を整え、学生が安心して学業に専念できる環境を築きます。

こうした施策により、経済状況に左右されず、意欲と才能を持つすべての学生が未来に向かって学び続けられる大学を実現します。

問5. 多様な学生への支援について
小野寺理候補者

日本人学生、留学生、社会人学生など、全ての学生が安心して学べる環境づくりは「地域課題の世界モデル化を通じた社会変革拠点大学」として不可欠な使命です。

留学生には英語学位プログラム拡充、海外大学とのダブルディグリー制度、学業・生活・就職の一体支援を担う「留学生支援オフィス」設置を進めます。進行中の学生寮建設計画の実現に敬意を表しつつ、持続可能な運営を目指します。環日本海地域の特性を活かした地域産業界との連携を深め、国内就職希望者への実践的支援を強化します。

社会人学生には地域産業界とのオーダーメイド型共同教育講座やリカレント教育プログラムを展開し、オンライン授業活用や夜間・週末コース設定など柔軟な学習環境を整備します。新潟大学の「環日本海」という地理的優位性を最大限活かし、多様性が強みとなる大学を実現します。

川端和重候補者
本学は、皆様の長年のご努力で新しい大学院の設置を行うことができるようになりました。同時に本学を研究大学として発展させるためには、大学院の強化が必須です。まずは、大学院の充足率1を超える増加です。学内進学者のみならず、留学生、社会人の大学院入学を拡大してゆきます。そのためにも、魅力的で安心な住環境、日本語教育(日本文化も含む),国際キャリアパス育成、さらには、いざという時の相談窓口などを教育系機構の強化やPhDリクルート室の強化等でわかりやすく整えてゆきます。国際化推進と学生支援は、両方進めるべきものです。
染矢俊幸候補者

国籍や背景を問わず全ての学生が安心して学べる環境づくりは、大学の活力と国際競争力を支える基盤です。留学生には来日前から住居情報を提供し、入居支援と生活相談を統合した窓口を設置します。さらに日本人学生や在学中の留学生との交流を促し、相互に支え合えるコミュニティを形成します。

日本語教育はレベル別・目的別に体系化し、日常会話からアカデミックな日本語まで段階的に習得できる体制を整備します。キャリア支援では、日本企業や自治体と連携したインターンシップや就職フェアを継続的に実施し、ビジネス日本語やマナー教育を整備して、日本社会への自立的参画と定着を促進します。加えて共修科目を拡充し、多様な学生が共に学ぶ学際的かつ国際的な教育環境を構築します。社会人学生や日本人学生に対しても柔軟な履修制度やオンライン学習を拡充します。

また、メンタルヘルスケアでは多言語・多文化に対応可能な職員を配置し、来日前から相談できる体制を整えます。単なる在籍者数の拡大ではなく、学生支援と国際化を一体的に進めることで、多様な学生が互いに学び合える環境を築き、世界と地域をつなぐ人材を育成します。

問6. 大学執行部と構成員との対話について
小野寺理候補者

執行部と構成員間の情報共有・意見交換不足は持続的発展の妨げとなる重要課題です。学長のリーダーシップとは、トップダウンではなく、構成員の多様な意見を引き出し、丁寧な対話を通じて合意形成を促進し、その決定に責任をとることと考えます。

職種や分野の垣根を越えた「共創型大学モデル」を構築し、意思決定プロセスの透明化を徹底します。年1回のタウンホール型説明会導入、団体交渉を建設的対話の場と位置付け、定期的な労使協議会設置により継続的意見交換を行います。

学内ポータルでの常設意見箱やオンラインアンケートで多様な意見を集約し、執行部の対応方針を速やかに公開します。DX推進により会議・業務を効率化し、URA等の高度専門職を戦略的に配置することで、一人ひとりが当事者意識を持ち、失敗を恐れず挑戦できる対話と共創の組織文化を構築します。

川端和重候補者
対話は重要です。ただ、目的を明確して行うことが重要だと思います。研究のみならず多様な機能を求められている国立大の経営をすべて理解するのは不可能です。そのようなことをしたら皆さんの独創的な研究教育の時間は無くなってしまいます。そのために教職員は組織化され、それぞれの層において専門性を発揮した活躍の場があたえられ、権限が与えられています。だから、学長・執行部を選んだら大学経営を任せてみてください。よいか悪いかは、すべてその執行部が生み出した結果で判断していただければよいと思ます。ただ、学長・執行部は皆さんの現場の声が知りたいのです。現場にこそ新しいアイデアがあります。声の大きな人の話だけではなく、黙っている人々の声に注目したいと思います。特に、本学が大きく飛躍するためには、教職員の皆さんの挑戦が必要です。不満の声ではなく大学をよくする挑戦の声を集めて少しでも実現するようにしたいと思っています。
染矢俊幸候補者

情報共有と双方向の対話は、大学運営における信頼の基盤です。組織改革には「信頼」と「共に考えるプロセス」が欠かせません。

私は、執行部と教職員の間で定期的な「懇談会」を開催します。重要施策や課題を共有するとともに、現場からの意見や提案を直接伺います。懇談会で寄せられた意見はオンラインシステムで集約し、テーマごとに整理・分析します。結果は、全学懇談会は全学に、部局・学系懇談会は当該組織に、それぞれフィードバックします。

さらに、提出された意見や提案については、執行部が検討結果を明示する仕組みを制度化し、活用状況を可視化します。DXを活用して会議資料や議事概要を迅速に共有し、情報格差をなくします。

これらの取り組みにより、現場の声が着実に大学運営に反映される環境を整え、トップダウンとボトムアップの調和を実現します。この基盤の上に、教職員一人ひとりが大学の未来を共に創る「信頼と協働の文化」を育み、風通しの良い組織風土を築きます。

問7. 財政運営と資源配分について
小野寺理候補者

運営費交付金が15年間で約8%減少し、10兆円大学ファンドが一部に集中する状況では、自前の財源確保が喫緊の課題です。新潟大学基金の段階的拡充戦略と、研究成果の知的財産化による「知の好循環モデル」確立が不可欠です。

県内企業・卒業生ネットワークを基盤とした寄付促進、参加型チャレンジグラント方式、企業版ふるさと納税活用など多様な手法で基金を拡充します。部局間予算配分は透明性を確保し、各部局の特性や貢献度に応じた戦略的配分を行います。外部資金獲得困難な基礎研究分野には地域連携や社会貢献を評価軸に加え、公平な支援を確保します。

医歯学総合病院は病院独自の裁量と人事制度確立を支援し、自律的経営基盤強化を図ります。施設・設備は中長期投資計画を策定し、共同研究設備の地域開放による利用料収入など多角的財源確保で、教育研究環境の充実を実現します。

川端和重候補者
運営費交付金が抜本的に大幅に増加することはありません。非常に多く方々が、文部科学省の官僚の方々と力を合わせて、長きにわたって何度も何度も議題に取り上げ、関係する国会議員の方々にも働きかけを行いつづけています。ただ、国にお願いをする時代は終わったと思っています。国立大学がいかに日本にとって、地域にとって、なくてはならない存在なのかを産業界のみならず一般市民や自治体の方々にも、しっかり認めていただく活動をする必要があると思っています。単に優秀な学生を地域に送り出すだけではなく、高度な医療を提供するだけでもなく、私学にはできない国立大だからこそできる「地域が誇り、頼りにする知の拠点」全国モデルとなるようなことを作ってゆこうと思います。これが、運営費交付金もふくめ、国や自治体からの基盤的資金を確保・大きくするための近道と考えています。これを進めることは、同時に関連する競争的資金も増えてゆきます。これは、外部資金への依存ではありません。このようにして、大学機能を拡大させてゆきましょう。これが、今ある運営費交付金を基盤的な資金として守りつつ、大学として発展させる道だと思います。
染矢俊幸候補者

運営費交付金が減少する中、教育研究の質を維持・向上させるためには、まず財源の多元化が不可欠です。外部資金では、寄附による大学基金の拡充、国際助成や民間財団支援の獲得を積極的に推進します。内部資金では、拡充した基金の運用益の活用に加え、産学官連携による共同研究収入、リカレント教育や社会人向けプログラムによる教育収入、知財・特許収益の拡大、施設利用料の活用など、地域社会や産業界との共創を通じて収入基盤を広げます。その際、教員の申請・事務負担が過重にならないよう支援体制を整えます。

部局間の予算配分は評価基準と配分プロセスを明示し、IRによるデータ分析を活用して透明性と納得感を高めます。外部資金への依存は景気や政策動向による変動リスクがあるため、運営費交付金や基金運用益といった安定財源とのバランスを重視します。施設・設備については、全学的な優先順位リストを作成し、老朽化や安全性、教育研究効果を基準に計画的更新を進めます。

こうした取り組みにより、持続可能で変化に対応できる財政基盤を構築し、学生・教職員が安心して挑戦と創造を続けられる大学を実現します。

問8. 職員組合との関係について
小野寺理候補者

健全な労使関係は安定的大学運営の基盤であり、教職員の声を運営に反映させることは極めて重要です。学長のリーダーシップとは、トップダウンではなく、構成員の意見を引き出し、対話を通じて合意形成を促進し、その決定に責任をとることと考えます。

団体交渉を単なる要求・回答の場ではなく、大学の持続的発展に向けた建設的対話の場と位置付けます。教職員の労働条件改善や教育研究環境充実に向けた組合の意見を真摯に受け止め、具体的解決策を共に模索します。人事制度、財政、業務改善、福利厚生など重要事項について定期的労使協議会を設置し、継続的意見交換を行います。

意思決定プロセスを明確化し、透明性を持って情報共有します。職種や分野を越えた「共創型大学モデル」を構築し、全構成員が大学運営の当事者として協働できる環境を整備します。

川端和重候補者
労使関係は、家族関係に似ています。大学は教員の研究教育活動の場であると同時に、事務職員や技術職員やUA職、さらには非常勤や任期付き教職員の方々など、本学で働くあらゆる人々にとって同等に自らの能力を発揮し活躍ができる場にしたいと思っています。すべての方々を任期なしにするということではありません。大学の財源や職務内容も含め、働くそれぞれの方々にはそれぞれの事情もあるでしょう。大学ももちろん理想郷ではありません。当然のことですが、全体が大きく増えない以上、何かを足せば何かを引くことになります。ただ、今この大学に籍をもつ限りおいてその方は本学のためにその能力が発揮していただきたいし、そのような方向に環境を整えたいと思っています。一度にできるわけもありません。皆さんの意見はもちろん、国等での統計情報、社会的情勢などをもとに、少しずつでも挑戦して、本学が魅力的な先進的職場となって働きたいと思う人を増やしたいと思っています。皆さんの組織が、そのようなことに関するアイデアや挑戦を集め、提案していただく組織であり関係になればと願っています。
染矢俊幸候補者

健全な労使関係は大学の安定的運営に不可欠であり、職員組合との対話・協議は相互信頼と課題解決の基盤と位置付けます。団体交渉には誠実かつ透明な姿勢で臨み、合意形成に至らない場合でも互いの立場や論点を明確にし、次の協議に活用します。

労使協議は年数回の定期開催を制度化し、加えて重要施策や制度改定時には臨時協議を行います。情報共有は一方的な通知ではなく、趣旨・背景・影響を説明した資料を事前に提供し、議論の質を高めます。

また、協議で出た提案や懸念については、対応方針や検討結果を必ずフィードバックし、反映状況を可視化します。教職員の声を運営に反映させることで、組織全体の納得感と一体感を醸成します。労使はしばしば立場を異にしますが、大学の発展という共通の目的の下で、互いを対立する存在ではなく協働するパートナーと捉え、建設的で前向きな議論を重ねていきます。そうした協働の積み重ねが、全員が責任と誇りを持ち、安心して改革を共に進められる文化を育てると考えています。

新潟大学職員組合 中央執行委員会

※本資料は組合員および大学構成員への情報提供を目的として作成されました

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