【2024年5月9日】新潟大学職員組合作成・新潟大学団体交渉(2024年2月21日)記録

新潟大学職員組合・新潟大学団体交渉記録

新潟大学職員組合作成(2024年5月9日)

 

日時: 2024年2月21日(水)17:00-18:02

場所: 新潟大学事務局棟4階 第一会議室

 

新潟大学職員組合出席者:

新潟大学職員組合中央執行委員長 逸見龍生

新潟大学職員組合中央執行副委員長 伊藤亮司

新潟大学職員組合中央執行副委員長 下保敏和

新潟大学職員組合書記長 岩崎俊介

新潟大学職員組合書記次長 後藤真一

新潟大学職員組合書記次長 柳沢 敦

新潟大学職員組合中央執行委員 粟生田忠雄

新潟大学職員組合中央執行委員 平野幸彦

新潟大学職員組合人法経分会分会長 高橋康浩

新潟大学職員組合人法経分会書記長 藤堂史明

新潟大学職員組合工分会分会長 大泉 学

新潟大学職員組合工分会書記長 永田向太郎

新潟大学職員組合教育分会分会長 岡野 勉

新潟大学職員組合教育分会書記長 鈴木賢太

新潟大学職員組合組合員 小西博已

新潟大学職員組合書記 安達裕仁

 

新潟大学出席者:

新潟大学学長 牛木辰男

新潟大学理事 川端和重

新潟大学理事 坂本 信

新潟大学理事 澤村 明

新潟大学理事 末吉 邦

新潟大学理事 西田眞吾

 

新潟大学陪席者:

新潟大学総務部長 澁谷 仁

新潟大学総務部人事企画課長 伊藤正則

新潟大学総務部労務福利課長 伊藤廣和

および総務部職員

 

2024年2月21日の新潟大学職員組合・新潟大学団体交渉において、次のようなやり取りによる交渉がなされたことを記します。

1.団体交渉態度に関する申入書(下記、「別添」)を団体交渉冒頭に組合委員長より読み上げた。

2.組合要求事項1 非常勤職員(基幹業務補助)待遇改善

(1)「国立大学法人新潟大学非常勤職員就業規則」第6条第5項、ならびに「国立大学法人新潟大学非常勤職員に関する取扱要項」第5条2の1の定める契約期間の延長に関わる規則を改正し、現行の「雇用期間が5年を超えることにつき、真にやむを得ない事情があると認められ、かつ、雇用するための財源が確保されている場合」(要項第5条2の1)としている5年又は契約更新の限度とされる期間に達する者についての契約期間の延長要件を、基幹業務従事職員について見直すこと。

(2)(1)による再雇用、ならびにクーリング期間を経て再雇用された非常勤職員の労働条件については、本学において雇用されていた期間の経験・能力向上を評価し、直前の契約における労働条件と同一のものとすること。

(3)前項の再契約は原則として期間の定めのない契約(無期雇用契約)とすること。

■大学側回答 (以後、回答は主として西田眞吾総務担当理事)

○要求事項1の(1) について

現時点で見直す予定はない。 理由は以下の通り。

1)運営費交付金の予算が不透明であり、非常勤職員の人件費についても明確に計画できない。

2)中期計画・中期目標が5年毎にある。非常勤職員の雇用は、事業の変化にあわせて柔軟に変更できるほうがよい。

3)任期満了後にどうしてもまた本学で継続して働きたいという場合は、常勤職採用試験を設けているので受験してほしい。

組合の反論:
1) 要求の対象としている基幹業務補助とは、大学事務職における「事務・技術職等の定型的・補助的業務に従事する非常勤職員」を含む、大学の基幹業務に関わりその業務を支える人材を指します。これらの業務は今後増加することはあっても、減少することはないと予想されます。したがって、基幹業務補助に従事する職員の人件費は、運営費交付金の将来的な変動に関わらず確保すべきであると考えます。大学側の回答は、その意味で回答になりません。

2) 中期計画の実施期間中にも、毎年新規採用が行われているという実態がある以上、大学側の回答は不合理であると考えます。さらに、パートタイム・非正規職員を人事上の調整弁として捉える大学側の姿勢は、極めて遺憾です。

3) パートタイム職員を雇止めし、常勤職採用試験を経ねば継続して働けないとすることは、職員の雇用の安定性を損なう行為です。長年働いてきた職員が、つねに雇用を失うリスクにさらされることは、職員の生活や将来の計画に大きな影響を与えます。安定した雇用が保証されない環境では、職員は長期的な視点で業務に取り組むことが難しくなります。

○同1の(2) について

採用については、募集の際の公平を期し、過去の職務経験は一律考慮しないというのが本学の方針である。

組合の反論:長年働いてきたパートタイム職員に対して、新規採用者と同じ条件で採用試験を課すことは、公平性に欠けます。職員の経験と貢献度が考慮されるべきです。安定した雇用が保証されない環境では、職員は長期的な視点で業務に取り組むことが難しくなります。パートタイム職員が担当している業務は、大学の運営に欠かせない役割を果たしています。雇止めによって職員が入れ替わることは、業務の継続性を損ない、効率性を低下させる可能性があります。新しい職員の採用と教育にはコストと時間がかかり、大学の運営に支障をきたす恐れがあります

○同1の(3)について

無期契約への転換は本人の意志によるものであって、一律に大学で決められるものではない。 それゆえに現状を維持する。

組合の反論:大学側の回答は、無期転換制度の本質的な意義を見落としています。私たちが求めているのは、無期転換制度を原則として導入することであり、制度の適用を希望しない職員に強制することではありません。無期転換制度は、職員の雇用の安定性を確保するための重要な手段であり、大学側は制度の導入を真摯に検討すべきです。

3.要求事項 2.非常勤職員の期末手当・勤勉手当支給を求める。

地方自治法の改正により、非正規の地方公務員「会計年度任用職員」の処遇改善のため2024年から勤勉手当を含めたボーナスが支給されることとなっている。本学でも非常勤職員に対する期末手当・勤勉手当を支給することを求める。

■大学側回答

非常勤職員に対する勤勉手当支給は地方自治体の場合である。本学としては、国において義務化された場合に実施を検討する。

組合側質問:文科省の実態はどうなっているのか。
澁谷仁総務部長回答:文科省はフルタイム非常勤にボーナス、パートタイム職員にはないと思う。
組合:「と思う」では困る。しっかりと調査してほしい。

総務部長回答:調査して回答します。(2024年5月9日現在、未回答)

4.要求事項 3.非常勤職員の病気等特別休暇(無給)の有給化を求める。

国立大学法人新潟大学非常勤職員就業規則第50条1ー2の定める以下の4号に関わる非常勤職員の特別休暇(現行では無給)を速やかに改正し、これを有給化することを求める。

(1)非常勤職員が生理日における就業が著しく困難なため勤務しないことがやむを得ないと認められる場合は、必要と認められる期間

(2)非常勤職員が職務上の負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合は、必要と認められる期間

(3)非常勤職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合(前2号に掲げる場合を除く。)は、一の年度において10日の範囲内の期間

(4)非常勤職員が骨髄移植のための骨髄液の提供希望者としてその登録を実施する者に対して登録の申出を行い、又は骨髄移植のため配偶者、父母、子及び兄弟姉妹以外の者に骨髄液を提供する場合で、当該申出又は提供に伴い必要な検査、入院等のため勤務しないことがやむを得ないと認められるときは、必要と認められる期間

■大学側回答:人事院では特に規定のないところだが、本学では(1)と(4)については有給化することにした。2月の役員会議、3月の労使協議会で確定したい。 (同労使協議会にて確定)

(2)と(3)は労災保険、共済組合給付で賄えるであろうから、導入はしない。

組合側意見(交渉後):パートタイム職員を含む非常勤職員が、労働災害や私傷病により休業する場合、最初の三日間は無給となることは、大きな負担であり、常勤職員との間に不公平な待遇差を生じさせています。無給期間を回避する唯一の方法は有給休暇の取得ですが、これは本来の有給休暇の目的とは異なります。非常勤職員の休業に対する適切な保障制度の導入が必要です。

(労災・共済組合給付の概要は以下(丸山隆行・新潟大学総務部労務福利課長、4月17日付メール)

[…]なお、労災保険給付は、労働基準監督署長あてに請求し、労働基準監督署において必要な調査を行い、保険給付が受けられる制度です。共済組合の給付は、組合員が病気やけがのため休んだ日以後3日を経過した日から傷病手当金が支給される制度です。

また、双方[労災]とも給付は4日目からで、給付額について大まかに言うと、労災の場合は給付基礎日額の80%、私傷病の場合は標準報酬の日額の2/3です(労災の場合は、1~3日目は大学から平均賃金の60%の給付あり)。

私傷病の場合、1~3日目は、病気休暇の場合は無給ですが、年次有給休暇を取得することも可能です。(下線強調は組合)

5 申し入れ事項② :裁量労働制の適用条件と同意手続きの改善について

裁量労働制の適用には、助教は勤務時間の9割を研究に、講師、准教授、教授は勤務時間の5割以上を研究・教育に充てて確保できていることが条件となっています。

来年度に向けて導入された裁量労働制に関する説明及び同意手続きについて、現在の説明文では、同意しなかった場合の不利益ばかりが強調され、同意へと誘導するかのような印象を受けます。裁量労働制の趣旨や適用条件、同意の意義について、より公正かつ中立な説明文に改善していただくよう申し入れます。

■大学側回答:

改善に向けて検討することにしたい。

別添

新潟大学職員組合は、過去における団体交渉の申し入れに際して、交渉の前段階で要求事項に対する回答の概要や要旨を事前に提示することを繰り返し要請してまいりました。しかしながら、新潟大学法人はこれらの要請に対して応じることがありませんでした。さらに、団体交渉の当日でさえ、回答の要旨を書面で提出することも、回答の説明を補強するための資料を提示することもありませんでした。

 

要求項目への回答内容には、法令や大学内規定、要求事項に関連する大学の意思決定に至った会議の内容や開催日時など、詳細な情報が含まれることが一般的です。これらの情報が口頭でのみ提供される現状では、職員組合がその場で適切に反応し、反論することは極めて困難です。その結果、事実確認を行うために交渉時間が無駄に消費されるという問題が生じています。

 

新潟大学法人の理事は、「団体交渉の前日および当日まで協議を行っているため、事前の回答概要を提示することができない」との立場を取っています。しかしながら、この主張は、労働組合との誠実な交渉を促進する上で根本的な課題を見落としています。交渉過程での意見交換の効率性と有効性を高めるためには、予め交渉の基盤となる情報や立場についての共有が不可欠です。理事の言及するような協議の進行状況は、団体交渉の本質的な目的とは異なり、対話と理解の促進に向けた努力を示すものではありません。実際に、事前に提供される回答概要は、労働組合が準備を整え、より具体的かつ建設的な議論を行うための基盤を提供します。そのため、事前の情報共有の欠如は、誠実な交渉過程を妨げるものであり、双方にとっての利益を損なう行為です。

使用者は、労働組合からの団体交渉申し入れに応じる義務を有しており(労働組合法第7条2号)、団体交渉は単なる意見聴取の場ではなく、労働組合の要求に対する合意形成を目指す交渉の場であるべきです。ここに、使用者に求められる「誠実交渉義務」に関する重要な裁判例を示します。

 

カール・ツァアイス事件(東京地裁平成元年9月22日判決)において、使用者は「自己の主張を相手方が理解し、納得することを目指して、誠実に団体交渉にあたるべきであり、労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明すること、必要な資料を提示すること、そして、最終的に労働組合の要求に譲歩できない場合であっても、その理由を明確にして反論するなどの努力をする義務がある」とされました。

新潟大学職員組合は、既に新潟大学法人を相手に労働委員会への申立てを行っております。この事実にもかかわらず、新潟大学法人がこれまでの交渉態度を継続していることは、深く遺憾であり、批判に値します。労働委員会への申立ては、組合の要求に対する法人の応答が不十分であることを示す重要な手段であり、このような状況下で、法人側との対話の改善を求め続ける労働組合の意志を反映しています。

 

にもかかわらず、法人がこれまでの姿勢を変えずに交渉に臨んでいることは、法的なプロセスと誠実な交渉要求の明確な無視であり、労働組合との平等かつ対等な関係の構築への明確な阻害要因です。このような状況は、労働組合との間で真の合意形成を目指す意思が新潟大学法人に欠如していることを示唆しています。新潟大学職員組合は、法人の交渉態度の速やかな改善を強く求めるものです。

以上内容に相違ありません。

新潟大学職員組合中央執行委員長 逸見龍生

 

国立大学法人新潟大学学長 牛木辰男

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