学術会議法人化法案はなにが問題か――大学教員と市民と学び合う機会を(組合員より)

学術会議法人化法案はなにが問題か――大学教員と市民と学び合う機会を

人法経分会 原直史(人文学部教員)

学術会議法人化法案が、今国会で審議されています。現行の学術会議は、戦前戦中に学術界が戦争に協力してきたことの反省の上に立ち、あたらしい国の組織として、「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される」(現行学術会議法前文)との崇高な理念の元に設立された日本のナショナルアカデミーです。国の組織であることにより、むしろ不偏不党であることつが担保され、これまでに数多くの提言、勧告等を国や国民に向けて行ってきました。

一方政府与党はこうした学術会議のあり方に次第に干渉を強めるようになり、ご承知のように2020年には、推薦された会員候補のうち6名の任命を当時の菅首相が拒否するという事態に至りました。拒否された6名はそれまで安倍政権が進めた安保法制などに批判的であった研究者であり、政府に都合の悪い研究者の排除を狙ったことは容易に推測できましたが、政府は一貫してその理由の説明を避けてきました。

そしてこともあろうに現行の学術会議を法人化し、首相が任命する「監事」や研究者ではない外部財界人等の「評価委員会」を通じ、その自立性を縛る法案を提出しています。「法人化」が決して自立ではなく政治への従属への道であることは、国立大学の関係者ならば皆が理解できることでしょう。

私たち新潟大学の有志は、今年初めから遅まきながらもこの問題に取り組み、2月には有志での声明、5月には小規模な勉強会も開催しました。しかしこの問題は、やっと大手一般紙が取り上げ始めたに過ぎず、市民への浸透も不十分と考えます。

そこで私たちは、大学教員と市民とが集まり、学術会議の問題は決して「学者のエゴ」や学者だけの問題ではなく、学問の自由、国民の思想信条の自由に関わる大きな問題であることを、ともに学び、声をあげていきたいと、つぎの会を企画しています。

6/3火曜日 18:00-19:45 駅南キャンパスときめいとにて
「学術は市民のもの 新大教員と市民との学習討論会」
京大教育学部教授駒込武先生がオンラインでお話ししてくださいます。
『「私物化」される国公立大学 』(2021岩波書店)の著者です。
詳細は添付チラシをご覧下さい。Zoom配信をいたします。

6/5木曜日緊急市民集会
18:15-45 弁天公園 のちパレード
市民団体のみなさんと共同で集会を行います。
詳細は添付チラシをご覧下さい。

周りの皆様にも是非広げてください。よろしくお願い申し上げます。

(本掲載についてのお問い合わせは、組合書記局まで)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。